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日本では傘がギフトに最適なワケとは?Vol.01

日本では傘は使い捨てという傾向にあるが、世界的にはどうなのか。現在、ヴァルカナイズ・ロンドンを運営するBLBG株式会社の会長・小石原翁がモノ申す連載。その第一回はそんな日本の傘事情について。傘はギフトに向いているというお話し。


日本洋傘振興協議会によれば、日本での傘の消費量は年間で1億3000万本ほど。これは世界一の消費量とも言われているが、うち8000万本はビニール傘で、傘といえば短期で使用するビニール傘であり、傘を大切にする気持ちが低い国とも言える。 

 実際、雨天の日に都内を歩けば、目に入るのは数百円のビニール傘をさしている人ばかり。確たる統計があるわけではないがそんな景色を見る限り、きちんとした雨傘とビニール傘の比率は1: 50ほどではなかろうか。「傘と自転車は使い捨て」と言い切る向きもあり、またそれが都市部でのゴミ問題を加速しているようにも思える。

傘は日本では縁起のいいシンボルだった

 こうした現実から傘は使い捨てという“常識”が定着しつつあるが、実は日本では昔から“傘は縁起が良い”とも言われてきた。それは「末広がり」形状から来ているわけで、「末広がり」は末が開ける、すなわち未来が繁栄するという意味。人生の門出を祝うにはぴったりである。 

また傘という漢字は「八」と「十」の漢字が組み合わさっていることから80歳の祝いにもなるとも言い、これを「傘寿」と名付けてもいるが、この辺りは若い方々には縁も関心もない話かもしれない。しかし、歳上の方々は嬉しいのではないだろうか。 

傘は洒落たギフトに向いている

日本の元首相である安倍晋三氏は、母校の校章がハンドルに彫られたフォックス・アンブレラのマラッカハンドルの傘をお持ちであるが、ご自分で購入されたものではないようだ。よっぽどの洒落者でもない限り、きちんとした傘を自分で買うことは少なくなっている。とすると、傘はギフトに好適品とも言える。 

 頭から靴の先までしっかりとこだわっているのに、雨の日にはビニール傘を持ち歩くというのではいささか寂しい。画竜点睛を欠くとは正にこのことではなかろうか。そんな方にこそ、本物の傘をプレゼントしたいものだ。傘に限ったことではないが、小物にも手を抜かないことが身だしなみの基本である。
 
 とりわけ、フォックス・アンブレラは、世界に1本のビスポークされた傘もオーダーできるし、そのままギフトに使えるラッピングも用意している。普段スーツをお召しの方にはダークカラーのスティールチューブの細巻き傘を、カジュアルな装いがメインの方には個性的なハンドルや傘地に色を使ったものギフトするというのも洒落ている。

 本国、イギリスのフォックス・アンブレラ社のファクトリーには100年前の傘が修理に持ち込まれることも珍しくない。消費されることが当たり前の時代だからこそ、いいものを長く使うということが、今の時代に改めてふさわしいモノ選びではないだろうか。 



(プロフィール)

小石原翁(小石原 耕作)

有名百貨店の英国駐在員として6年間イギリスに在住。その後、ジャガー・ジャパンの設立に参画。1984年から1999年までの15年間に渡りジャガー・ジャパンの広報室長を務める。その後、フォックス・アンブレラ ジャパンの会長を経て、現在はヴァルカナイズ・ロンドンを運営するBLBG株式会社の会長。英国通で、歯に衣着せぬ物言いが持ち味。