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オーダーは名前の入れ方でセンスがわかるVol.04

ギフトや自分の持ち物にイニシャルを入れて、ちょっとしたパーソナライズを楽しむのが英国流。ヴァルカナイズ・ロンドンでは、フォックス・アンブレラをはじめ、スマイソンの革小物やターンブル&アッサーのシャツ、ジョンストンズのストールという小物から、グローブ・トロッターのスーツケースにいたるまで、イニシャルを入れるパーソナライズ・サービスが充実しています。そこで、小石原翁流のパーソナライズの極意 を伺いました。

オーダーにはさりげなくイニシャルを入れるのが洒落ている

持ち物には名前を書きましょうと60年以上前の幼少の頃にやかましく言われたが、それは自分の意思ではなかった。年を経てすっかり大人になった今、スーツの上衣に名前またはイニシャルを入れることはよくあるが、トラウザーズにはあまり入れない。つまり自分の手を離れる可能性のあるものには名前を入れましょうということで、服では、ジャケットやコート。小物であれば、スカーフ、グローブ、ハンカチーフや財布などの革小物。果てには旅行鞄や傘、ステーショナリーなどがそれに該当する。そういえばご婦人のハンドバッグにはあまり名前を入れないようだが、あれはなぜなのだろう。

日本で名入れというと名前の全てを入れる場合と、イニシャルすなわち名前の頭文字を入れる場合がほとんどだろう。西欧社会にはモノグラムというものがあって、これで名入れというのが一般的だ。

モノグラムとはイニシャルを図案化したもので、オランダ東インド会社(オランダ語で Verenigde Oost-Indische Compagnie 、略称VOC)のVとOとCを組み合わせたものなどが有名だ。西洋人はミドルネームを持っていて、国によっては親や祖父の名前も継承してしまうからイニシャルが3つ以上あるのは珍しくなく、この「3つ」というのがモノグラムを図案する上で極めて重要だと思われる。

特にトラベルケースのボディにイニシャルを入れる場合、アルファベット2文字ではどうにも形がまとまらない経験をお持ちの方も多いだろう。戸籍上の氏名はそう簡単に変えられないけれど、なぁに、トラベルケース用なら構うことはない、何でも勝手に名乗って格好良いイニシャル、またはモノグラムをデザインしてみてください。

パーソナライズも盛りすぎるのはトゥーマッチ

個人的には、“吊るし(レディメイド)”でないオーダーものは、見る人が見れば直ぐに判る唯一のものだから、それだけでパーソナライズの究極だと思う。なので、重ねての名入れは不要だと思うけれど、クリーニング店のためもあるからまあ入れても構わないが、できれば目立たない方がよろしい。

シャツをオーダーする時に市販品にはないディテールをやたら入れ込んだ挙句に、カフや襟に目立つイニシャルを入れる方がおられる。あれはパーソナライズの履き違えと言うのだろうね。体にフィットして疲れず、Vゾーンが綺麗なシャツなら、目立たない色で小さく名入れするのが私流だ。

財布など小物も同じく、内側(ライニング)などに目立たないようにイニシャリングすると品が良い。その代わり、トラベルケースのボディには大きくアルファベットを手書きしたいと思っている。ただし、3つ目のアルファベットがまだ思いつかない。

(プロフィール)

小石原翁(小石原 耕作)

有名百貨店の英国駐在員として6年間イギリスに在住。その後、ジャガー・ジャパンの設立に参画。1984年から1999年までの15年間に渡りジャガー・ジャパンの広報室長を務める。その後、フォックス・アンブレラ ジャパンの会長を経て、現在はヴァルカナイズ・ロンドンを運営するBLBG株式会社の会長。英国通で、歯に衣着せぬ物言いが持ち味。