ギフト選びで失敗しないコツとは?Vol.03


父の日が間近に迫ってきたということで第3回のテーマは、「ジェントルマンへの贈り物講座」。例えば自分より年上で経験豊富な男性へのギフト選びのコツをご紹介します。小石原翁流の考えるギフトとは? 男性へのギフトでお悩みの方の参考になるのでは。

ギフトは選んだ時点で実は成功している

贈り物の満足は、どこにあるか。漫画家の東海林さだお氏が「お土産」について分析しているので、参考にされると良いと思う。氏が言うには、もらった「モノ」に満足するのか、それとも、もらったという「コト(事実)」に満足するのかということだ。多くの場合は、“誰から何故”もらったのかという「コト」に満足を覚えるのではないだろうか。もらった「モノ」によって満足・不満足が別れるのは収賄かもしれない。だから、贈る人が心を込めて選んだものはすでにその時点で成功していると言える。

 だが、サイズが合わなかったり嗜好を完全に外したりするのは心が足りないということになる。だからサイズを考えなくてはいけない洋服などは余程親しい間柄でない限りオススメはしない。まあ、相談を受けた側も良いものを選ぶというより、ハズす可能性を極力排除するという助言しかできないだろう。引き出物や香典返しなどで最近よく見かけるカタログギフトという奴は、まさにこれに対応しているのだろう。贈り手のセンスをアピールする必要がなく単に半金返しを現金以外で行うという実利的目的から生まれた物で、あれはあれで良いシステムなのだろう。

センスをアピールするギフト選びはゲーム感覚で

贈る相手を知らない人(多くは店員だったりするけれど)が勧めたアイテムでギフトが成功した場合は、選ぶ人、贈る人、そうして贈られる人がその程度だということで、真剣に選ばなくてもほぼ行けたのだと思う。問題はそっちじゃなくて、本当に自分の好み、選択眼をお持ちの方へのギフトであって、こっちはいささか難しい。

 王道は贈り主のセンスを最大限にアピールすることだろう。自分では絶対に選ばないが、とても好みだ、というものが戴けた時の驚きと喜びは格別で、贈り主に対する見方が数段上がる。こういった贈り物をするときは、英国の濃い部分を煮詰めたようなヴァルカナイズ・ロンドンは役に立つかもしれない。

 例えば、靴がお好きな方には、靴自体を送るのでは無くバカバカしく高価で珍しいシューポリッシュ用品を贈る。古い車がお好きな方には、オリジナルのセールスブローシャーや発売当時の特集記事が載っている雑誌を探し出してみる。ゴルフ好きの方には、ゴルフスコアを書き込める手帳を贈ってみる。そう言えばスマイソンにあったなぁ。この、ゲームとも言えるセンスのやり取りをぜひ楽しんでいただきたい。

 ご本人が贔屓のショップがあれば、ちょっと乱暴だがその店のバイヤーと気が合っているとも言えるわけで、ハズすリスクは減るかもしれない。さらには担当者がいたりしたらもう、やったね!ですね。全面的に協力を願ってドンズバなギフトをゲットしてください。 



(プロフィール)

小石原翁(小石原 耕作)

有名百貨店の英国駐在員として6年間イギリスに在住。その後、ジャガー・ジャパンの設立に参画。1984年から1999年までの15年間に渡りジャガー・ジャパンの広報室長を務める。その後、フォックス・アンブレラ ジャパンの会長を経て、現在はヴァルカナイズ・ロンドンを運営するBLBG株式会社の会長。英国通で、歯に衣着せぬ物言いが持ち味。